PARLIAMENT
みらい 土谷議員
会派みらいの土谷です。 平成から令和となり、令和では初めての一 般質問をさせていただきます。 第2期あきた未来総合戦略(仮称)の素案 の基本目標が示されました。基本的視点とし て現行戦略の検証とともに新しい時代の流れ や本県の地域資源・強みの活用等の視点を踏 まえながら、国・市町村・地域の動向を反映し、秋田の未来への投資として対策を構築す るとあります。 具体的には、魅力ある雇用の場をつくるため、各産業を振興し、県内経済を活性化する。 本県人口の社会動態の流れを変え、社会減を 抑制する。若い世代の結婚、出産、子育ての 希望をかなえる。時代に合った地域と人材を つくり、安全安心な環境を守る、とあります。 素案に数値目標を明記し、これらの目標を達成するための主な取り組みとして、地域産 業の競争力強化、農林水産業の成長産業化、 交流人口の拡大、関係人口の創出・拡大、若 者の県内定着・回帰、結婚・出産・子育てに 希望を持てる社会の実現、出会いと結婚への 支援の充実・強化、あらゆる分野における女性の活躍推進、新たな「地域の支え合い」づ くり、秋田の未来を支える人づくり、安全・ 安心な暮らしを守る環境づくりなど一三項目 を設定し、各分野の具体の取組にも数値目標 を定めていることに注目をしております。 しかし、「あきた未来総合戦略」について、 検証結果として、一七年から一八年の目標達 成状況の報告があり、七項目の数値目標のう ち達成率が一○○パーセントを超えたのは、 本県への移住者数一四三・四パーセントのみ で、他は六六パーセントから九七パーセント となっており、目標達成が一項目しかありません。 少子化対策の女性一人が生涯に産む子供の推定人数を示す合計特殊出生率が九○・五パ ーセント、新たな地域社会の形成の社会・地域活動に参加した人の割合九七・○パーセン トなどは、私は評価に値するものと思ってお ります。 しかしながら、秋田県として最大の課題で ある人口減少対策、それに関連する、婚姻数 七五・九パーセント、Aターン就職者数六六 ・七パーセント、雇用創出数八三パーセント、 「住みやすい」と思っている人の割合八七・ 三パーセント、このことについては、評価に 値するものかどうかは、私には判断ができま せん。 知事は、ご自身の政策にどのような評価を されているのか伺いたいと思います。 また、あきた未来総合戦略の検証結果の達 成状況と新たに策定される「第2期あきた未 来総合戦略(仮称)」の素案を見ると、目標などの数値が高いと思われます。それらの数値目標が達成できるのであれば、秋田県の強さを発揮できるときが到来したのではないかと感じますが、知事の考えを伺います。 これは私の思いでありますが、国、県、市 町村としても、人口減少対策に関しては本当 に大きな大切な将来に亘っての課題であると 考えます。 しかしながら、行政としては最大の課題で も一般の人々の受け止め方は、あまり危機感 はないように思われます。行政として結婚、 出産、子育て等には最大の支援をするのはも ちろんでありますが、秋田県全体の将来の希 望に向かっての県民への意識の醸成がなけれ ば、問題の解決にはほど遠いこととなります。 行政と県民のマッチングの方策を考えるべき と思いますが、県の考えを伺いたいと思いま す。 次に、素案の地域産業の競争力強化の中で 多様な人材が活躍できる環境の整備、中核人 材の確保、具体的な事業としてプロフェッシ ョナル人材の獲得活用への支援があります。 製品開発や生産性向上など、県内中小企業の成長に向けた取組において、中核となる人 材の獲得を支援するととともに、副業や兼業 などによる首都圏の大企業等での高度な知識 や経験を有する人的資源の活用を促進し、県 内中小企業の課題解決や成長戦略の実現を図 るとあります。このことについては、大変重要で良いところに目をつけたと感心しております。今秋田県では、高度経済成長期に整備され た橋梁をはじめとして、長寿命化を図るため に今後何年にも亘って、補修工事を行うこと が必要になっております。なお、補修工事にあたり、特殊な工事内容については県外の業 者が施工することになると思われます。 今後長期に亘って、秋田県の橋梁を守ることになるならば、秋田県が支援をして、橋梁 の特殊工事ができるような県内の会社を設立 すべきと考えます。このような動きは、本県 の経済循環構造の本県への利潤への環流につながるものと考えますが、いかがでしょうか。 今回、県建設工業技術センターと最新の土 木技術研究を行っている東京にある土木研究 センターと十一月二十一日に技術協力に関す る協定を結んだとありました。道路施設点検 や橋梁補修などに関する技術力向上に力を合わせていくとあります。 首都圏の大企業出身の高度な知識や経験を有する人材の確保、また、安全安心第一の橋 梁特殊工事のため、いろいろな難しさもあると思いますが、今回の工業技術センターと土 木研究センターとの協定の締結を前向きに進 めるためにも県独自の会社が必要と思います。 県の考えを伺います。また、そのほかに考えられることはないのか併せて伺います。 次に、雄物川流域の防災対策について、質問をします。十月十二日に襲来した台風十九号が関東と 東北地方を中心に猛威をふるい、記録的な豪雨により各地で堤防が決壊し、河川が氾濫を して大規模な水害が発生しました。各地の田畑や住宅などに被害があり、そして人的被害 も起きました。十一月二十五日現在で一三都県で九八名の 死亡が確認されております。行方不明者も三名おります。改めて被害に遭われた皆様にお 見舞いを申し上げると共に、お亡くなりにな られた皆様に哀悼の誠を捧げます。 未曾有の水害ではあるものの現実に起きた ということに、大変な驚きと怖さを感じます。 秋田魁新報の識者評論で、東京大学大学院教授である池内幸司氏によると、地球温暖化 に伴う気候変動によって今世紀末には大雨の 際に一度に降る雨の量が一・一から一・三倍 程度に増加し、それに伴い川を流れる水の量も一・二倍から一・四倍程度に増えることが予測される。適応するためには、治水施設の 整備の目標やその内容を抜本的に見直す必要がある。ハード対策の再検討が急務である、 と書かれておりました。 私も地元の方からお話を聞くと、「昔の雨 の降り方と現在の雨の降り方は、まるで違 う。」との話をよく聞きます。昔の雨は、秋の長雨と言って、シトシトと やわらかい雨であったと言います。今は、頑 固な強い雨が降るように感じます。これは、 梅雨時の雨の降り方にも言えます。梅雨末期 のバケツの水を逆さまにしたようなゲリラ豪雨、これなども怖い雨です。地球温暖化の影 響でしょうか。 台風十九号が静岡県の伊豆半島に上陸した のが十月十二日午後七時頃、豪雨を伴った台風は関東地方や福島県を通過、堤防決壊が七 一河川一四○カ所、農林水産被害三、○五八 億円、住宅被害八万八、九五九棟、土砂災害九六二件、その他の被害もあります。一つの 台風で甚大な被害を発生させております。 秋田県でも二○一七年七月の秋田豪雨にお いて大仙市や横手市で浸水被害や農地水田へ の冠水など大変な被害が発生しております。 現在、河川改修工事が行なわれており、堤 防の一部工事完成との事も聞いております。 前置きが少し長くなりましたが、質問に入ります。 今回の台風十九号では、台風の進路に当た った各地で大変な被害を受けてしまいました が、地球規模で進行する温暖化や気候変動の 影響、日本近海の海水温の上昇などでのゲリ ラ豪雨や、今回の台風十九号規模の勢力によ り、秋田県内の大中小河川が氾濫した場合に、 避難対策などのあらゆるソフト対策は万全で あるのか伺います。 次に、県内のダムの放流について伺います。 ダムの放流に対しては、私も苦い経験があります。今から八年前、梅雨の末期にゲリラ豪雨が県南を中心に襲い、皆瀬川、雄物川の水 位が上がり、雨の降り続く中、そこに皆瀬ダ ムの緊急と思われる放流がなされ、河川内外 のスイカが収穫期のもう少しで出荷できると いうのに、冠水をして、すべて廃棄処分となりました。特に十文字町、雄物川の生産者が 被害に遭いました。その後、建設委員会で放 流について対応を検討した経緯があります。 今回の台風十九号では、県内でも被害が出 ました。私も天気予報のニュースで激しい雨 が降るとの話を聞き、皆瀬川の河川を見に行 きました。その時、事前放流をしているので はないかと思われる濁り水が流れておりまし た。その後最大の降雨があり、そして、台風通過の次の日、ダムからの放流を知らせるサ イレンが鳴り放流を行ったようです。台風十九号時の皆瀬ダムの放流の状況はどうであっ たのか、伺いたいと思います。 今回の台風十九号では、国、県が管理する 他県の六ダムで緊急放流を行ったようです。 昨年の西日本豪雨の時は、愛媛県のダムが緊 急放流を行い、下流で犠牲者が出ております。 西日本豪雨をきっかけに、国交省では有識者 検討会にてダムの工業・農業用水の水を大雨 の前に放出してダムの水位を低くしておく、 事前放流をするとの検討がなされたとのことです。 皆瀬ダムだけでなく、県内のダムに関して は、国が管理するダム、県が管理するダムが あると思いますが、事前放流、緊急放流に対 する県の考えを伺いたいと思います。 私は、スマートフォンやタブレットで雲や 雨の動き、降水量の関係などきめ細かい対策 が取れるのであれば、事前放流のあり方を考 えるべきと思います。いかがでしょうか。ただ、今までの災害に対する県の危機管理 や危険度では対応できるのでしょうか。河川 堤防やダムといった洪水の調整施設など水害 対策などの水準が降雨の激化に負けているように思います。 今後、ますます危険度が高まるのではない かと心配されます。危険の伴う緊急放流を封 印できるようなやり方と、事前放流のあり方 をもっと研究する必要があると思います。例えば、水田のダム機能を高めるためにも畦畔 の高さを二倍にするとか、豪雨に対しては水 田の排水を止めるとか、対策はいろいろある はずです。 十月二十六日の秋田魁新報の「北斗星」に 書かれておりましたが、県内で戦後最大の水 害は、一九四七年(昭和二十二年)に発生し、 七月から九月に雄物川では、三回続けて洪水 が起こり、雄物川沿いの平地の六割が浸水、 全県で七月だけで死者二五人、家屋全壊三五 五戸、床上浸水一万五、八○八戸、田畑冠水 四万八、六○○ヘクタール、現在の横手市十 文字町睦合である睦合村では、水田面積の九 割超が冠水し、「一面が泥の海と化し、その 全部が床上浸水」だとして、村全体を「泥漬 けの惨状」と報じたとあります。 その水害の遭った睦合村で水害の二年後に 産まれたのが私です。母が結婚して来て、すぐ水害に遭ったそうです。胸まで水につかり 泥との闘いは言葉にならないくらい大変だという話は、私が小さい時から聞いています。 国が推奨する「国土強靱化」を早期に実現 しなくてはと思います。ただ、秋田県が想定してきた今までの危険 度では災害に対応できないように感じます。 危険度をもっと上げないとこれからの自然災 害には対応できないように思いますが、県としてどのような考えを持っているのか伺います。 私は、雄物川水系の皆瀬川のすぐ近くに住 み、少し下ると、皆瀬川と雄物川の合流点が あり、そこから雄物川として下流に到ってお ります。 若い時から河で泳いだり、魚を捕ったり最 高の遊びの場でありました。 農業をやり狩猟をするようになってからは、河川がカモやキジなどの猟場であります。毎年、河川に足を運んでおりますが、昔の河川、 そして私が青年、壮年の時と河川がだいぶ変化をしているように思われます。 約一○年前から、河川の中央部に土砂がた まり、そこに柳の木や、アカシヤ、そしてヨシなどの雑草が茂り、河の流れが変化を見せ ているように思われます。年々河床が高くなり、弱いところ、柔らか いところを水が流れ、河川内の道路や耕地を、 数年毎に壊すことがあります。いろいろ調べてみると、一級河川だけでなく、小規模の河川でも見受けられます。 河川は、平地に近づくと川底の勾配が緩や かになって、土砂がたまりやすく、雑草や雑 木などのスザライをしないと洪水になりやす いと言われています。あるがままの自然もわからなくはないが、はたしてそれが良いのか どうか、なにもしなければ自然放棄地であり、 それなりの管理をしていかないと河川が維持できないのではないかと思います。県の考えと今後の対応などがあれば、伺いたいと思います。 最後に、イージス・アショアについて伺い ます。 第三回定例会十二月議会知事説明を伺いま した。イージス・アショアについては新屋演 習場以外の他の国有地についての調査を来年 三月までに実施することになっております。その中で一番の焦点となっているのが、調 査結果を踏まえて行う総合的な評価の対象には、住宅密集地や公共施設が周囲にある新屋 演習場も含まれているということであります。この場所については、どのような観点から 考えても、イージス・アショア設置には無理が伴うものと考えます。県民感情もこれほど 厳しく盛り上がっている状況を受け止めるべきと考えます。 県民にとっては一番の関心事であり、最重 要課題であります。 イージス・アショアの問題について、知事 は、防衛大臣への申し入れ時期について、今 年中は難しく、二月議会前の申し入れとのことでしたが、再調査の結果が出てからでは遅いと思われるので、できるだけ早期に対応を図るのが、県政としての務めと考えますが、 いかがでしょうか。 また、菅官房長官へイージス・アショアの ことについても要望されたとの事でありましたが、秋田県出身の官房長官はどのような考 えであったのか、あるいはどのような感触で あったのか伺いたいと思います。 これで私の一般質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。