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一 般 質 問
土谷質問
みらいの土谷勝悦です。
はじめに、知事の政治姿勢について伺います。
アメリカ合衆国では、トランプ大統領が誕生いたしました。
多国間の枠組みを破り「米国第一」を振りかざし、「アメリカファースト」の下、世界でナンバーワンの強いアメリカを目指して、なりふり構わず自国の国益を優先して、国際協調や様々な面での秩序を乱しています。
環太平洋連携協定(TPP)も永久離脱ということで、日本があれほど真剣に取り組み、それに対する対応策などで身構えた国民や県民はもちろん、日本政府も面目をつぶされたといっても過言ではないと思います。
今後は、新たに日・米二国間による自由貿易協定(FTA)の締結が懸念されており、日本の立場がマイナス方向に向かうことが心配されております。
また、日本でも昨年、東京都知事選挙が行われ、小池百合子都知事が誕生いたしました。豊洲市場の環境問題やオリンピック招致に関する会場、財源の問題など、精力的に活動しているのをマスコミ関係の報道などで拝見しております。
その中でよく使われる言葉が、「都民ファースト」という言葉であります。
先に述べたアメリカ大統領のトランプ氏も、「アメリカファースト」(米国第一)を唱えております。
いずれにしても、トランプ政権に対しては、どの国の政府も自己利益の主張で応戦するしかなくなったように思います。
今年一月二十八日付けの秋田魁新報の時評で元東京大学学長の佐々木毅氏が、『「ジャパンファースト」以外に選択肢がない、価値観の共有などといった曖昧な言葉を安易に用いらないように』と書いております。
こうした中、我が秋田県にあってはどうでしょうか。佐竹知事は、秋田県を守るために、そして県が発展するために、小池知事のように「アキタファースト」を唱えるのか、あるいは隣県やよく訪問される様々な国との協調を前面に出していかれるのか、知事の心構えを伺いたいと思います。
次に、県政の最重要課題である人口減少対策について伺います。
一つ目は、新年度に設置を予定されている「あきた未来創造部」についてであります。
現在、秋田県の人口は平成二十九年一月一日現在、一〇〇万六、六一七人で、今年中に一〇〇万人を切ると言われております。
人口減少問題に関しては、今まで複数の部局で対応策を実施してきたところであります。
しかし、現実には、県の人口は年々減り続けてきており、こうした状況を踏まえると、「人口減への対策には限界があるのではないか」と、この頃考えてしまいます。
今回、新たに部を設置することとなりましたが、なぜもっと早く設置出来なかったのか、県の人口減少を甘くみていたのではないか、と思います。
知事として、現在の状況をどのように捉え、どういう思いで新たな部の設置に至ったのか、お考えを伺います。
また、新しい部を作るに当たっては、これまで取り組んできた様々な対策のうち、成果が出たものと出なかったものとの検証をしっかりやられているのでしょうか。費用対効果の分析がなされているのでしょうか。
ただ新しい組織を作るだけでなく、少子化対策や人口減対策について大いに考えていかなければならないと思います。
思えば、私が町議会議員に当選したのが三九歳で、今から二八年前になります。その頃は、農家にお嫁さんが来てくれないということで、嫁こいデモをやったり、様々なイベントを企画したことがあります。私は運が良く、結婚することが出来ました。
しかしながら、企画は今考えてみるといくらかの成功例はありますが、大成功とはいかなかったように思われます。
その後、私の集落をみても、子ども達の学力の向上が図られ、大多数の子ども達が大学や専門学校などに進学し、仙台や東京などでの都会生活を送ることとなりました。近くにスーパーやコンビニがあり、楽に生活出来る環境の下で就職し、そのまま秋田には戻らない子どもが多く、また、戻ったとしても晩婚傾向のため、生まれる子どもは一人か二人というのが現状であります。
少子化問題の難しさは、若い人に就職や結婚を強制することが出来ないことであります。個人の考え方や生活様式のあり方などを尊重しなければならない、そういう難しさがあると思います。
また、行政で考えている人口減少や少子化に対する危機感が、各家庭や若者に届いているのかという懸念もあります。
こうした難しい課題に対し、今までと同様の対策では、新しい部を作った意義がないように感じられます。これまでの取組を踏まえ、新しい発想や検討している取組があればお伺います。
次に、移住・定住対策について伺います。
私は全国でも一番に人口減が進む秋田県にとって、移住、定住促進が特効薬にはならなくても、地道に取り組まなければならない施策だと思います。
その中で、いくつか提案があります。はじめに農業関係の移住・定住についてです。農業を主として秋田県で移住・定住する家族があれば、夏は農業、冬は雪に関する仕事、例えば、除雪関係の仕事等を提供出来ないものでしょうか。その際、機械の運転免許を取る費用を助成したり、建設会社で採用した場合には優良会社として点数を与えるなど、冬の生活の対策なども考えるべきと思います。
また、県に定着して農業を営む人には、市町村とタイアップして近くに住む篤農家の人に、農業栽培の親になっていただき、親子関係を結び指導していただく、いわゆるJAふるさとの花き部会で行っているブラザー制度の様な関係を作ることも必要ではないかと思います。
何故なら、機械を使って耕起や代掻き、あるいは刈取も農業ですが、農業の本当の「勘どころ」は、栽培管理であると私は思います。
親から農業のコツを教えてもらうことは、大きな力になると思われます。
今述べた、きめの細かい対策も考えなければ、なかなか定着に結びつかないように感じます。
二つ目としては、若者に対する秋田の魅力体験の提供であります。他県、特に仙台市や東京都の大学生や専門学校などの生徒を人数限定になるかと思いますが、秋田県に興味のある人を対象に、県の企業とタイアップし、インターンシップ体験や農業体験を行ったり、県の祭りや観光なども体験できるよう、「秋田まるごとツアー」といった企画も、これからは長い目でみれば必要になってくるのではないかと思われます。地方に人材が還流するための私からの提案について、知事の見解をお伺いします。
最後に、農業政策について質問いたします。
はじめに、米の出荷重量の見直しについてであります。
農業従事者の平均年齢は全国的に六六?六七歳であります。私も同じ年代です。
私が小学校の頃、一俵と言えば米俵でありました。米俵を自在に扱うのは大変難儀であり、村の若い衆がよく集まって、力自慢をしていたのが思い出されます。
それから、私が中学生くらいの頃には米俵から麻袋に取って替わり、少しは俵と違い、取り扱いが楽になったように感じられました。
私も、高校を出て米作りや米の運搬などに従事して来ましたから、毎年のように六〇キログラムの麻袋を背に担ぐことをして来ました。
その後、昭和四十年代頃から六〇キログラムの麻袋から三〇キログラムの紙袋に替わり、現在に至っております。
米の重量が半分になった時は、私も若さ一杯の頃でしたので仕事量が増えたような、あるいは米の重さが感じられないような、なんとなく不思議な思いをしたことがありました。
現在は、おそらくフレコンバック以外、全国の農家が三〇キログラムの紙袋で出荷しているものと思われます。
話は少し変わりますが、日本の社会保障給付費は右肩上がりで、特に国民医療費は四〇兆円を超え、二〇二五年度には六〇兆円を超えると試算されています。
年齢別の医療費をみますと、六五歳未満では一人当たり年平均約一八万円なのに対し、六五歳以上では約七二万円になっております。
国が健康づくりを進めることの意義は、
一つは国民の健康寿命の延伸
二つ目はヘルスケアビジネスの創出
三つ目として医療費削減
であり、秋田県でも「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」において、県民一人一人の健康寿命を延ばし、「元気にとしょる」健康長寿社会を目指しております。
今年は嬉しいことに、日本老年学会が現在六五歳以上とされている高齢者の定義を、七五歳以上に見直すべきとの提言をしております。
このことについては、色々な面で様々な影響が生じることから、国は慎重姿勢であるとのことですが、私は歓迎しております。
医療の進歩や生活環境の改善等により、一〇ないし二〇年前に比べて、身体能力や知的能力が五ないし一〇歳ほど若返っているという分析結果もあることから、六五?七四歳の人が就労やボランティア活動を行うことで、明るく活力ある高齢社会が構築出来るのではないかと思われます。
話を農業の方に戻しますと、二〇一〇年の農業センサスでは、本県の農業人口比率が一八パーセントと全国で最も高く、年間の農産物販売金額五〇万円以上の全販売農家のうち、六四パーセントを六五歳以上が占めております。
本県は二〇一五年の国勢調査で高齢化率が三三・八パーセントと全国最高でありますが、秋田県農業に関しては農業従事者の平均年齢からみても、高齢者の方々の頑張りが県内農業を支えていると言っても過言ではないと思います。
以上のことから、私の提言でありますが、現在、出荷米として出されている米袋の単位を、三〇キログラムから二〇キログラムに変えて出荷することが出来るように提案したいと思います。
このことについては全国的な問題もあり、また、関係者全体の総意がなければ出来ないことであります。最大の集出荷業者である農協との関係もありますが、ぜひ実現出来るよう農業県である秋田県からの発信をお願いしたいものであります。
高齢化率全国トップでもある本県からの発信であれば、賛同してくれる県もあると思います。
私が昔、十文字町のスイカ部会の部会長をしていた頃の話ですが、東京の市場に挨拶を兼ねて視察に行きました。その当時、スイカの箱は四ツ玉入りでありましたが、今度スイカの箱が二ツ玉になると言われました。
私が何故と聞いたところ、市場で採用した若い職員が、スイカが重くて難儀であるということで辞めてしまう、との話でした。
八キログラムのスイカ四個詰めの箱であれば三二キログラムになり、スイカの最盛期であればかなりの数の箱を取り扱わなければならないことになります。現在では、二個詰めで出荷されております。
また、米三〇キログラムも、若い時には何とも思わなかった訳でありますが、今では重さが悪戯(いたずら)する年になりました。三〇キログラムの米袋を一〇〇個ないし二〇〇個も動かすことによって、足、腰はもちろん、体中の筋肉が悲鳴をあげます。毎年その様な繰り返しの中で、腰の痛みや体の変調などで医者通いの人もおります。
私は、今の現代社会で三〇キログラムの物を取り扱う仕事がどの位あるのかわかりませんが、三〇キログラムの米袋というのは、現代社会の仕事従事者には嫌われている重量であると思います。農業者だけでなく、運搬など関係する人達も多くいます。
特に、農業は足腰に負担が掛かる作業が多く、その蓄積もあり、農業が厳しく難儀であると言われる所以の一端でもあると思います。
米袋が二〇キログラムであれば、農業従事者の農業寿命が伸びるとともに、健康の増進や医療費の軽減にもつながるものと考えます。高齢化社会にあって、体に変調をきたすような重労働は改めるべきと思いますが、知事の見解を伺います。
政府においても、「農業競争力強化支援法案」を今国会に提出するとしております。
また、農家の所得向上に向けて全国農業協同組合連合会(JA全農)も自主的な取組として、「自己改革推進本部」を立ち上げており、まさに日本農業の発展を重要視していることの表れではないかと思われます。
その動きに対して、行政としても現状を踏まえ、農業従事者の農業寿命を伸ばすためにも、あるいは健康保全による医療費削減のためにも、現在の三〇キログラム単位ではなく、二〇キログラム単位で出荷するよう提案すべきと考えます。
三〇キログラムの出荷米は、各関連の取扱者、運送、運搬を含めた、すべての人に負担がかかっているほか、また農業女子にとっても重すぎる重量であると思います。
このことについて、どのように思うのか見解を伺います。
次に、秋田県の農業戦略について伺います。
私は、「第2期ふるさと秋田元気創造プランの農林水産戦略」について、大変良く出来ていると思います。
「オール秋田体制」による園芸品目の生産、販売対策の拡大、県内の園芸振興をリードする園芸メガ団地の整備、県オリジナル品種を核とした果樹・花きの生産拡大とブランド力向上など、その他の取組もありますが、特に私が評価するのは、県が推奨する米プラス複合作物への取組で、県各農業試験場での品種の改良であります。
秋田県の各試験場では、リンゴの新品種「秋田紅あかり」「秋田紅ほっぺ」、また枝豆の新品種では「あきた香り五葉」「あきたさやか」「あきたほのか」など、そしてスイカの新品種「あきた夏丸」「夏丸アカオニ」「夏丸チッチェ」などが作られており、そのほかにも多くの品種改良がなされております。
今、私にとって身近のものとしてはスイカがありますが、JA秋田ふるさとでは平成二十七年の売上高一四億六千万円、昨年二十八年は一三億四千万円でした。
県の開発した「あきた夏丸」が市場、バイヤー、量販店、消費者に好評で、スイカ先進地の長野県・山形県に追いつこうとしております。
これなども、県各農業試験場での品種開発、そしてその品種の特性を生かした栽培、農家の努力もあり、先に述べた好成績に繋がったものと思います。
今や、品種の開発は、米を始めとして様々な分野で全国的に各県が鎬を削っており、これに乗り遅れることは、県が推奨する米プラス複合経営の分野で大きく遅れをとってしまいます。
各試験場の、今までの品種改良の頑張りに対して高い評価をするとともに、今後についても期待しております。そこで、今後の戦略は、どうなされるのか、見解を伺います。
次に、大型農業の推進についてであります。 園芸作物や花きなどを生産している農家では大変忙しく、昔は米プラスαのような複合経営であったのが、今では逆転して、複合経営品目プラス米という経営体になっている農家が大多数ではないかと思われます。
国と県では農地中間管理機構を活用し、農地の集積、集約化を図る「農地集積・集約化対策事業」や、地域の中核となる農業経営者の育成のための集落営農、農業経営の法人化などにより、大型農業への取組を進めております。
そうした方向性も、農業従事者の平均年齢が六六?六七歳の状況と将来をみれば必要であると考えます。
しかし、先に述べた複合経営に取り組み、家族労働で精一杯、個々の農業を営んで来た農業人が多くおります。その方々も米作りをしております。
国、県が力を入れて推進している大型農業だけでは、秋田県農業全体を語ることは出来ないと思います。
まず、そのことについての見解を伺います。
次の提案でありますが、農業用機械の共同利用について伺います。
私は、農業の米作りについて考えた時に、労働の割りに収入に結びつかない仕事であると考えております。
昔の人の話を聞くと、米作りで子どもを育て、一人・二人は大学まで出したとのことでありますが、右肩上がりに米価が上昇していたとはいえ、今の米作りでは考えられないことであります。
しからばと考えた末に、米価の低迷や資材の高騰など様々な要素がありますが、その中で一番思うことは、農業の機械化による経営の圧迫が考えられます。
各農家では農業機械を完備して労働力不足を補っていますが、農業機械への投資額は、生産規模とマッチしているのでしょうか。
私が考えるには、農業、特に米作りをやるために能力の高い機械を購入するのではなく、農業機械を主人公とした、機械の能力に合った米作りをする。そのためには、機械の能力と水田面積を把握して、各農家二戸でも三戸でも機械の共同利用をすべきと考えます。機械の能力から、水田の面積を決めていく、そうした考え方の農業、そういう施策を、県としても推進出来ないものか伺います。
機械への過剰投資を少なくすることで、コスト低減に向けた米作りになると思います。
また、県の奨励品種である「あきたこまち」だけではなく、「ひとりじめ」や「もえみのり」など早生や晩生種の品種に変えることにより、稲刈り期間が長くなり、コンバインなどは刈取能力が向上する。そのことにより、刈取面積が増える。参加戸数も増やすことが出来ます。
昔は「ゆい」があり、私のところでは、「よいっこ」と言っておりましたが、お互いに労働力を貸し合うという良さがありました。
現在は労働力は機械かも知れませんが、共同という「ゆい」の心を大切にしなければ、秋田県農業を守ることは出来ないように感じます。
機械を中心とした共同体について、県として推進並びに育成出来ないものか、見解を伺いたいと思います。
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