一 般 質 問

2015年2月定例会


土谷質問
新みらいの土谷勝悦です。
 まず始めに、農業問題についてお伺いいたします。
 二○一三年、国では農業について政策の大転換を発表しました。四○年以上も続けてきた生産調整、いわゆる減反政策を廃止するとのことであります。
 このことについては、農村社会や集落にとって、なにより農業者にとって、大激震を感じた人が多かったと思います。
 それにも増して、昨年度、減反廃止になると一番心配される米価の値崩れが現実となり、JA全農あきたが決めた二○一四年産あきたこまちの米の概算金が過去最低の八、五○○円と一気に下落し、稲作農家から「ショックだ、もう米作りを続けられない」など、悲鳴が上がるのは無理もないことと思われます。
 県では、農家の資金繰りを支えるため、金融機関と連携して農家向けの無利子融資制度をいち早く創設しました。私は、そのことに対しては評価をしております。
 しかしながら、今年の見通しはどうなるのか、米価下落に対する策はあるのか、まず始めにそのことを伺います。
 もう一つ懸念されることは、県が農業の規模拡大を進めている中で、今回の米価下落が大規模農家ほど影響が大きく、米価のことを考えると先が見通せないと、農家は将来に不安を抱えております。そのことについて、県はどのように答えていくのか伺います。
 戦後からの食料難を乗り切るために、私が高校を卒業した昭和四○年代は、米の多収穫を目指して努力をしておりました。あの頃の農家の皆さんは、気力も充実して輝いていました。 
 その頃は、食管制度の時代であり、その後米余りの時代に入り減反政策が始まりました。米余りについては、全国での生産量の拡大、輸入の増大、食生活の変化等、様々な要因がありますが、当時は、食管制度堅持、米価を上げろの合言葉で、むしろ旗を掲げデモ行進をしたことが思い出されます。
 その後、食管制度もなくなり、長い間、生産調整いわゆる減反政策が続きました。その間には、WTO交渉やガット・ウルグアイラウンド交渉で、日本は農業よりも工業重視の政策基調で臨み、そのため、日本経済としては飛躍的に伸びることになったと思います。
 しかし、このことにより、日本農業は成長産業には成り得なかったのではないかと考えます。
 国が、農業政策をしっかりした成長産業にするという確固とした政策を行ってこなかった。私は、県にも責任の一端はあると思っております。その都度に変わることから「猫の目」農政といわれた国の姿勢に、異を唱える県であって欲しかったと思います。
 今回、県は、主食用米の生産数量目標が大幅に減ることによる転作拡大に対応するため、飼料用米など非主食用米への作付け誘導をしております。
 そこで、まず、飼料用米について伺います。
 県は、二○一四年度の栽培面積一、一八○ヘクタールの三倍以上の作付けを目指し、また、農家が割り振られた転作面積より三○アール以上多く転作した場合、飼料用米の生産助成費として一○アール当たり五、○○○円を交付する方針であるとのことであります。
 飼料用米は、主食用米と同様の生産方法で、機械類も同じものを使えるので、転作対応とすれば有利でありますが、転作奨励金がなくなった場合、価格はどうなるのか、国の飼料用米に対する助成は現行のまま続くとお考えなのか、そのことについて伺いたいと思います。
 飼料用米の作付けは、畜産農家の必要数量と合致する必要があると思いますが、その飼育農家数の全国的バランスを考えると、輸送に関わる経費や保管に要する経費など、本県にとって様々な課題が浮かんでくると思います。
 確かに、転作として作付けをした場合、主食用米とほぼ同等の収益となりますが、その後の経費の掛かり増しなどについては、県としてもしっかりとした農家への説明をする責任があると思いますが、その点はどうでしょうか。また、栽培管理なども病害虫の発生がないよう主食用米と同等に指導すべきと思いますが、如何でしょうか。
 心配のもう一つは、飼料用米の作付けが県で考えている面積となった場合、またそれ以上の作付けとなった場合、春の代掻きから始まる水の供給が果たして大丈夫なのかということであります。今までも、天候によっては水田に引く水が配給制になった年もあります。
 水田の増加に対する、水の対策などはどうなのか、特に、ダムの管理状況なども渇水が起きないような計画がなされているのか、伺います。
 次に、高齢農業者による農業指導体制の整備について伺います。
 現在、農業従事者の平均年齢は六六?六七歳であります。高齢者にとっては、米作りと違って、野菜、花卉など畑作は、大変難儀であります。
 秋田県農業の将来を考えた時に、農業者の世代交代を円滑に進めることが重要ですが、新規就農者が近年増えているとはいえ、その数はまだ少なく、本県の農業基盤、農業技術を次代に引き継いでいくためには、一層の若者の参入を進めなくてはなりません。
 そのためには、農業は経験が大事ですから、現場で若手農業者に対するアドバイス体制を充実させることも必要だと思います。高齢農業者は重労働は出来ないと思いますが、智恵と経験を生かし、これから農業をやる若い人の指導者にはなれると思います。農業を成長産業にするためにも、また農業の継続を図るためにも、高齢農業者の若手人材育成への活用は大切であると思いますが、県の考えをお聞きかせ下さい。
 次に、農産物の海外への販路開拓について伺います。
 この頃の国の政策をみると、農地解放で分散化した土地を再び、集約化しようとしているように思われます。
 確かに、外国との競争を考える時、規模拡大を図ることは必要と思いますが、果たしてそれが日本の農業のベストなのか、私はこの頃、大いに疑問を感じております。
 日本の農業はその時々の権力者の都合に合わせて行き先が左右されてきております。歴史は繰り返すもの、今もそうなのでしょうか。 私は決して、そうなって欲しくないと思っております。
 私の考えでは、秋田の農業は、アメリカ型の大型農業に対抗するのではなく、ヨーロッパ型の家族経営農業を目指すべきと考えます。その中でも私が取り上げたいのは、オランダの農業であります。
 オランダは、世界第二位の農産物輸出国であります。農地面積は一九○万ヘクタールで、日本の農地面積の四二パーセントであります。それにもかかわらず、農業輸出額は日本の二○倍以上の一一兆円を超えています。これをどう見るのか。
 国では、農林水産物、食品の輸出額について、現在の五、○○○億円を二○二○年までに一兆円にするという目標を掲げております。しかし、目標や呼び掛けだけでは達成は出来ないと思います。やはり、国・県が主導しなければ、目標の達成やそれ以上の成果が出ないと考えます。今まで我が国は、海外へのマーケットを求めなかったのか、出来なかったのか。特に日本の米政策に関しては、いびつさを私は感じております。

 本県は、国内では食料自給率第二位という農業県です。カロリーベースのため、米の生産によるところが大きいのですが、野菜、花卉も生産拡大を図っております。日本で作られている農産物は、世界一安全で安心な食料であると言えます。国外への売り込みについて、本県はどのような戦略を持っているのか、知事のお考えをお聞かせください。
 最後に、本県農業の将来像について伺います。
 日本は島国であります。世界の異常気象や天変地異等の災害などで、食料の調達が出来ないことを考えた時に、日本の安全保障のためにも食料自給率の確保の重要性は大きいと思います。我が国の自給率はわずか三九パーセントであり、このような自給率の低い農業で大丈夫でしょうか。本県を日本の食料基地として位置付けるとすれば、本県の農業はどうあるべきとお考えでしょうか。また、このままで、農業後継者は育つとお考えでしょうか。
 農業が衰退して集落に若者がいなくなることにより、限界集落化が進み、伝統文化活動や消防活動、祭事など、社会的共同生活の維持が困難となり、地域の活性化が失われ、市町村はもとより、県全体が沈み込んでしまいます。
 農村社会集落、ひいては秋田県を守るためにも、農業で生活が出来るような方策を早急に確立するべきであります。
 県は、転作扱いとされる加工用米の需要に不安があるとのことで、飼料用米で転作拡大を図ろうとしております。TPPの俎上にコメも上がり、自由化か、輸入増か、せめぎあいをしている中、米政策は将来的に大丈夫なのでしょうか。
 秋田県農業は、今まで転作田を活用し、花卉や青果物、果樹などに取り組み、今では特産品と言われる程、全国でも大きな評価を得ているものもあります。また、周年農業や冬期農業などでも頑張っております。
 農業の形態も、大型農業もあれば、花プラス稲作、青果物プラス稲作、果樹プラス稲作など、様々であります。秋田県農業を守るには、そういった様々な農業形態を進め、発展させていかなければならないと考えます。また、耕作面積は小さくても頑張っている、そういう農業を守り大切にしていかなくてはならないと考えますが、如何でしょうか。
 今般の急激な農業改革では、犠牲となる農家が出てくることも考えられます。それと、農業に対する意欲がなくなる人も出てくることが心配されます。
 国では、日本農業の将来設計図をどのように描こうとしているのか、なかなか理解出来かねます。県は、どのような将来設計図を持っているのでしょうか。農業県の知事として、どうお考えなのか伺います。  次に、地方創生についてお伺いします。
 国の人口減少対策の五ヵ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、東京一極集中を是正するため、二○二○年までの五年間で地方に三○万人分の若者(一五?三四歳)の雇用を創出するとあります。
 県も、二○一五年度当初予算の方針として、人口問題への対策を最重要課題として挙げております。実際のところ、県内の人口が毎年一万人以上減り続ける中で、どう対応していくのか。人口減少を防ぐためには、若者に向けた施策が最重要であります。若者の雇用の場の確保や若者主体の経済振興、ふるさと秋田へ定住出来る環境づくり、農業を受け継ぐ農業後継者の育成、若い世代の結婚や子育ての環境づくり、子育て世代の経済的負担の軽減など、様々な事が考えられると思います。
 知事は、政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に関して、昨年十二月二十五日の定例会見で「抜本的な制度改革が行われていないという印象。国が分権社会へのビジョンを示す必要がある。」と注文を付けたとあります。
 また、地方版総合戦略を策定した自治体への交付金について、「国主導の大きなビジョンがなければ、どこも同じ様な事業を展開し、地方間で予算を奪い合うような事態が起きる。これでは問題解決にはつながらない。」と批判したとあります。
 地方創生に向けて、どのようなビジョンが望ましいのか、知事のお考えをもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
 私は、秋田に仕事があれば、そして給料で生活出来るのであれば、秋田県に住みたいという若者は多くいると思います。
 しかし、全国知事会でも要望していますが、国の企業の地方移転促進策として、本社機能や研修施設などを地方に移した場合、税などを優遇するとありますが、そうした支援だけで果たして企業は移転を決断するものでしょうか。
 特に本県は、冬期間は雪が降りますので、企業進出に少なからず影響があり、雪の降らない他県と比べると不利な点が心配されます。
 県とすれば、誘致企業に対しては、国の支援策と合わせてより好条件で、他県と比べて負けないような思い切った支援策での獲得が必要と考えますが、本県立地の利点をどうアピールしていくのか、また、首都圏から地方への還流を促すという国の施策に対応し、どのような取組を行うつもりか、お考えを伺いたいと思います。
 この頃、外国、特に中国へ企業進出した企業が、円安やその他の事情で、国内へ生産拠点をシフトするという回帰現象が起きています。これは、最大のチャンスと思いますが、それに対してのアクションはどうしていくのか伺います。  次に、人口減少対策についてお伺いします。
国では、長期ビジョンとして「二○六○年に人口一億人」を確保する目標を示しました。
 一人の女性が生涯に生む、子供の平均数を示す合計特殊出生率を、今の一・四三から二○四○年には二・○七に引き上げることを想定しているとのことです。そうすれば、二○六○年には政府目標の一億人を維持出来るとの見通しを示しております。
 ビジョン案では、人口減少がこのまま進むと、将来的には経済規模の縮小や生活水準の低下を招いて、国自体が危うくなるとのことで、人口減少対策は「待ったなしの課題」であります。
 本県でも、人口減少、少子化については、何年も前からの課題であり、解決の決定打も確立しておりません。全国三八位の合計特殊出生率のわずかな増減に一喜一憂しているのが現状であると思います。また、全国一低い婚姻率についても同様であります。
 人口減少、少子化対策については、県としても様々な対策を立て、財政面でも対策遂行のための努力がみえます。秋田県とすれば最大の課題であり、将来の秋田県を左右する重要な案件であると思います。
 しかしながら、目標は設定しても、若い人の個人個人の考えや想いは、大切にしていかなければなりません。個人を尊重し個人のプライバシーを守り、少しずつ問題解決のために進めなければならないと思います。
 県では、「人口問題対策連絡会議」及び「人口問題対策プロジェクトチーム」を設置し、全庁一体となった総合的な取組を行っていますが、その中間報告は平成五十二年を見通した「二○四○年、人口七○万人社会のシミュレーション」となっております。
 一方、国では、二○六○年に政府目標人口一億人維持の数値を掲げております。
 人口減少については、もともと秋田県が国より先に取組をしてきたという経緯がありますが、国と県で、同じ歩調を取って問題解決に取り組むべきと考えますが、如何でしょうか。そして、これからの方針についてですが、将来、どのような県の姿を描き、今後どのように人口問題に取り組んでいくのか、ご意見を伺いたいと思います。
 私事ではありますが、大変うれしく感じたことが一つありました。
 娘が結婚をして、共稼ぎ家庭ではありましたが、長男をもうけました。初めての育児で大変難儀をしたと思います。二人目の子供が出来たという知らせがなかなかなくて、私も妻も不思議に思っておりました。
 そうしたら、妻に子供は一人でやめるとの相談があり、妻は、娘に、「祖父母や両親が亡くなれば、子供は世の中で天涯孤独になり、何か事が起きた場合、大切なことを相談する人がいないことになる。それも長い時間に渡って、そんなことになったら、かわいそうなことではないか。育てるのは難儀だけれど、二人は頑張れ。」と言ったそうです。その説得のおかげで、歳は六歳離れたけど、私にとってはかわいい二人目の孫が出来て喜びました。
 このことは、二人目の孫が誕生してから聞いた話でしたが、その時は妻と娘に感謝をいたしました。二人目が生まれてから、長男の方も明るさが出て、また違った一面がみえるようになりました。
 子供を生み育てていくのは育児の面や経済の面でも、大変な事だと思います。
 二人目を生むということに、迷いを感じている人も多くいるのではないかと思います。
 来年度の政府予算案では、子育てについて、妊娠から子育てまで、親子の心身をサポートし、子育てに不安を持つ親から相談を受ける拠点となる「子育て世代包括支援センター」を一五○市町村につくる計画が示されています。
 私としては、組織作りだけではなく、一つ一つの事例を解決できるよう、相談機能を充実させることを望みますが、本県では、どのような取組をしていくのか伺います。  次に、議員会館を活用した保育所の整備についてお伺いいたします。
 人口減少で労働力不足が心配されている中、女性や高齢者の方々が自分の持っている能力を発揮していくことと、またその環境を整えることがこれからの一つの方向性と考えます。
 なかでも、政府が言う「女性が輝く社会」の実現が、今後の日本にはなくてはならないことであると思います。
 都道府県庁での女性管理職の登用については、昨年四月一日時点で前年より○・四ポイント増の七・二パーセントですが、秋田県は三・○パーセントで、まだまだ低い状況であり、民間でも同じような状況であると推測されます。
 そうした中で今年、北都銀行が内閣府による「女性が輝く先進企業」七社に選ばれ、最高賞の内閣総理大臣表彰を受賞したことは、女性の活躍の励みになると同時にこれからの職場づくりの良いお手本ができたということだと思います。
 私は、人口減少が進む本県こそ、女性が活躍出来る環境を作ることが県の発展につながると思います。そのため県は、社会の環境づくりを積極的に進めていかなければならないと考えております。 
 男性もそうですが、特に女性の場合、結婚・出産・育児があります。特に、育児に関しては、大変なことだと思います。
 今年三月いっぱいで議員会館が宿泊機能、及び執務室機能ともに廃止となることが決定されました。議会運営委員会で、様々な方向から検討をされての決定ですので、快く承認いたします。
 そこで提案いたしますが、議員会館を活用した県庁内保育所を整備したら如何かと思います。
 仕事を持っている女性が飛躍するためには、子供が身近にいて、見届け出来ることは安心感もあるし、思いっ切りの仕事が出来るのではないかと思います。
 県庁、秋田地域振興局、県警等、県の機関を対象とした総合の保育所ということも考えられます。県庁としても、職場内保育所の全国的なモデルとしても良い機会ではないかと思います。女性が輝くことによって、秋田県も明るくなるような気がいたします。
 いろいろ検討しなければならないことも多いと思いますが、この提案について、知事のご所見を伺います。  最後に、介護についてお伺いいたします。
 二○一五年度政府予算案を見ると、介護報酬を二・二七パーセント引き下げるとあります。
 このことは、社会福祉法人などの事業者への負担となり、ひいては入所者へのサービス低下や施設の管理の低下などを招くのではないかと懸念されます。さらに最悪の場合、経営難に陥る事業者も出てくるのではないかと思われます。
 そこで、本県の介護サービス事業の現状と、今後の影響、見通しについて伺います。
 また、介護職員についてもお聞きいたします。
 介護職員は、重労働に加え、生命にかかわる重い責任の元での勤務であること、その一方で低収入であること等から、全国平均で五年半で離職しているという現実があります。 現在、全国で約五六一万人が要介護者であり、今後介護が必要になる人の増加が予想されます。特に一○年後には、団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをすることから、介護職員が今よりさらに七○万人以上必要となるとの国の推計もあります。
 介護職員の不足という避けては通れない事態が、今後ますます深刻化するという認識のもと、県の介護職員の確保対策や、施設整備はどのような計画であるのか、どのような考えでこのことを乗り切るつもりか、伺います。



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