一 般 質 問

2010年12月定例会


農業問題について
土谷質問
「民主・新みらい」の土谷であります。
 北朝鮮の砲撃のことや、TPPの農畜産物の問題、あるいは国の政治のことなどを考えると、混迷の日本や世界を強く感じられる今日この頃であります。
 秋田県が未来に向かってより良い県になるように思いを込めて質問に入ります。

 農業問題について質問いたします。
 はじめに、農業など国内産業の将来を左右する、環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPについて質問いたします。
 TPPは、太平洋を取り巻くように散在するシンガポールとニュージーランド、チリ、ブルネイの四カ国が結んだ自由貿易協定(FTA)で、二??六年に発効しております。 農畜産物も含め、物の貿易では、原則すべての品目の関税を撤廃しており、今年三月からは米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、さらに、十月には、マレーシアも加わり、現在は計九カ国となっており、参加国を増やす交渉を進めております。
 我が国は、この十一月に、菅首相が二一カ国の地域が参加して、横浜で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)において採択された、首脳宣言「横浜ビジョン」において、貿易やサービス、資本移動の障壁を減らし、「緊密な共同体」にするという目標を掲げております。
 また、あいさつの中で菅首相は、TPPに関連して、「日本は再び大きく国をひらくことを決断した。自由貿易を進めるとともに、輸出もできる、競争力ある農業にするため改革を進めていく。」と国内農業に配慮しながらも、TPP参加を推進する姿勢を表明しております。
 このことについて、農水省の試算では、日本がTPPに参加し関税全撤廃を受け入れた場合、農畜産物の生産額は、米や小麦、畜産物、甘味資源作物などにおいて、年間四兆一、???億円減少し、食料自給率はカロリーベースで一四パーセントへと大幅に落ち込み、農業関連産業や農機具生産販売などの国内総生産(GDP)への影響は、年間七兆九、???億円に達し、三四?万人の就業機会が失われると試算しており、農業においては壊滅的な打撃を受けることが想定されております。
 知事は、今年の県議会十一月臨時会冒頭の知事説明において、「TPPへの対応については、我が国の食料の安定確保や食料自給率の維持向上等に向けた抜本的かつ明確な対策が前提となるべきものであり、今後、国に対して農業県としての立場を強く主張する」と発言しております。
 その後、先月十八日に、北海道の高橋はるみ知事が、佐竹知事を含む東北六県の知事との連名の要望書を、筒井信隆農水副大臣に提出しております。
 その中で「米国やオーストラリアと日本の農業が、本当に関税なしで競争できるのか。」と指摘しながらも「広く国民の理解と合意が得られるまで、十分な時間をかけて慎重に検討すること」を求めたとのことでありました。
 しかしながら、この一連の知事発言や知事連名での国への要望内容に関して、私は大変不満に思っております。
 東北、北海道地域は、特に、日本農業の食料生産基地として、長年にわたって培って来た地域であります。
 本県においても、雪国というハンディにも負けず、先駆者となって牽引してきた先人の方々の努力があればこそ、現在の「秋田県農業」が生き延びて来ているものであり、農業の技術の向上に向けた、常日頃の研究があればこそ、「農業秋田」のブランドの確立ができたものであり、そうした先人が苦しいながらも農業を続けてきたものが、今の農業を支えているものと思います。
 農地を耕す人がいて集落が形成され、地域力が生まれ、それが商業や工業など、連携、連動することによって、「今の秋田」があるものと思います。
 我が国は、小さな島国でありますが、世界的に見ても、自然豊かな国であります。
 そしてその中でも、あまり人工的に自然を破壊しておらず、春夏秋冬の四季を織りなすのが「秋田県」であると思います。
 素晴らしい美田が広がり、早春の大地を耕し、満面に水を張り、田植えが終われば緑のジュータンを敷き詰め、さらに、秋には稲穂が黄金の輝きを放つ。そうした季節の移り変わりの中で、田植えや稲刈りを行う。
 年中行事ではありますが、本県は、まさに自然の中で、自然と共生して生きて来ていると言っても過言ではないのです。
 県では、TPPによる本県農業への影響額を、一、一六一億円と試算しておりますが、農業生産や農業関連などの影響もさることながら、秋田の自然や各地域で生活を営んでいる人達への影響も含めると、計り知れない程甚大なものがあると心配しているのであります。
 これまで、国が進めてきた農業政策に関して言えば、自民党の農業政策であれ、民主党の政策であれ、いずれにしても失望しております。
 国や人を守るという基本的な姿勢がまるで感じられないのであります。加えて、日本という国の将来像が見えて来ません。
 秋田を明るい未来へと導く、まさにリーダーが、秋田県知事の役割であり、佐竹知事自らが、本県の抱える課題を明らかにし、将来像を明確に描く。その中で、本県農業をどのように守り、発展させていくのか。
 まずは、きめ細かく現状を分析し、秋田県の道標を、国へ提言するくらいの熱き思いと危機管理意識がなければ、本県農業に未来は望めず、沈下の一途をたどり、決して、浮き上がることが出来なくなるものと危惧するのであります。
 去る、十一月二十一日の新聞記事に、内館牧子さんは、「私は日本全国をよく歩くが、秋田の地盤沈下は際立っているように思う。もはや危険水域に達しているのではないか」と掲載しておりました。
 県では、「ふるさと秋田元気創造プラン」を策定し、重要施策を分かりやすく掲げるなど、比較的中味のある内容になっているとは思いますが、その元気プランも「TPP」によって、絵に書いたモチ以上に、空虚なものとなってしまう恐れも予想されます。
 いかにして「将来の秋田県を守りぬくのか」、知事の心意気とTPPに対する秋田県農業の対応策についてお考えをお伺いします。

知事答弁
 まず初めに、TPPに関する基本的立場を申し上げます。
私は、十一月臨時会において全会一致で採択された「環太平洋戦略的経済連携協定について、国民的合意形成を図ることなく、また、これに対応する具体的な対応策を提示することなくして、締結・参加することのないよう強く要請する」との意見書と同様な考えであります。
こうした考えに基づき、菅総理も出席された、十一月二十二日の政府主催の全国知事会議において、国のTPPへの対応については、食糧自給率の維持向上といった食料の安全保障や、競争力向上に向けた個別農業政策、農村部における雇用の確保などの地域政策、という三つの観点から、国として具体的な対策を提示し、国民的合意形成を図ることが前提となるべきことを、強く申し入れたところであります。
 「黄金と実りて豊けき秋田」と県民歌でも唱われているように、いにしえより、秋田の地は四季の変化に富んだ美しい自然を有し、恵まれた水田からの豊かな実りと多彩な文化を背景として、素朴で温厚な県民性を育んできました。
加えて、戦前の食糧難の時代には国民の食を守り、また、近年の農業政策が変遷する時代にあっても、貴重な財産である水田や、作物に適した気象条件を活かすことで、米をはじめとする多彩な農産物を生産し、全国屈指の食料供給県としての役割を、長年にわたり果たしてきております。
 このように、先人が作り上げた美田や農産物を、次の世代に受け継いでいくことが、私の役目であると認識しております。
 TPPに対する農業の対応策についてでありますが、国における議論の方向すら定まっていない現時点においては、それを前提に論ずる段階には至っていないと考えております。
しかしながら、国内の産地間競争の激化に加え、海外からの輸入農産物との競合により、本県農業は厳しい経営環境に置かれており、国のTPPへの対応いかんにかかわらず、農業の構造改革を進めることは何より重要と考えております。
そのため、こうした対応策として、今回提案いたしました「秋田県農林漁業振興臨時対策基金」では、本県農業の競争力を高め、自立できる経営体質へと転換させるべく、短期集中的に各種施策を実施していきたいと考えております。
 「農業・農村の元気なくして、秋田の元気なし」、「農業を守り発展させることこそ、秋田を守り発展させることに直結する」との考えのもと、農業の構造改革に全力で取り組んでまいります。

教育問題について
土谷質問
 秋田県は、小学六年生、中学生などの全国学力テストにおいて、全国トップクラスの成績を四年も維持されていることに、敬意を表したいと思います。
 本県では、義務教育を九年間終えた生徒は、昔と違ってほぼ全員といっていいほど高校へ進学しております。
秋田県の「全日制高校年度別学科別生徒数」によると、全体の生徒数は、少子化の進行もあり、減少傾向が続いております。
 また、普通学科と職業学科の生徒数の比率を見てみると、昭和五十五年度では、普通学科が六三・五パーセントで、職業学科が三六・五パーセントとなっておりましたが、平成七年度は、総合学科入学の最初の年に当たるわけですが、普通学科が六六・四パーセントに対し、職業学科が三三・六パーセントと職業学科の割合が減少し、さらに平成二十一年度では、普通学科が七〇・一パーセントに対し、職業学科が二九・九パーセントと三〇パーセント台を下回る状況になっております。
 これは、職業学科から普通学科へシフトする傾向が、顕著になってきたことを示しております。
 この職業学科の割合が減少し、普通学科が増える状況は、全国的にも同様の傾向が見られます。
 私がなぜこの数字を上げたのかと申し上げますと、昭和五十五年頃の県内の高校は、普通学科・職業学科ともバランスが取れていたように思うのであります。
 それが現在、普通学科の生徒数の割合が約七割、職業学科の生徒数が三割であり、このことは高学歴社会においてはやむを得ないことなのでしょうが、少し疑問を感じております。
 普通学科を卒業して大学進学、あるいは専門学校へ進学していく生徒が全体の七割もいることに、私は少なからず今後の日本の将来に不安を感じるのであります。
 たしかに、学力を高めて世界を股にかけて国際的に活躍する人も必要であり、県や市町村の行政関係の仕事をする人も必要とは思います。
 しかしながら、人間社会の基本は「モノづくり」ではないかと思うのであります。
 出来た「モノ」が正常に回ることによって、正常な社会生活が営まれると考えます。
 本県の男女十五才以上の就業者数をみると、平成十七年の統計によると、見方によっては様々の解釈ができますが、属に言う「ブルーカラー」と言われる生産、運輸関係職業の人が五六、〇〇四人、それに農林漁業関係職業を合わせると七九、三〇九人となっております。
 また、「ホワイトカラー」と言われる事務、技術、管理関係職業は九〇、三五〇人となっており、現在の県の職業状況では、「ブルーカラー」よりも「ホワイトカラー」といわれる人が多く、昔からすると逆転現象が顕著に表れております。
 今、全国の大卒予定者の就職内定率は、十月一日現在で、就職氷河期の頃も下回り五七・六パーセントと過去最悪の状況ということであります。
 五?社訪問しても内定ゼロとのことで、長く報われない就活の日々に、心や体のバランスを崩すケースもあるとのことであります。
 子供達が頑張って、学力を高めて大学を卒業しても、とどのつまりは就職難という非常に大きな壁が立ちはだかり、それを乗り越えていくか、あるいは自分の望む職業とは違う会社へ就職し、自分の将来設計の変更を余儀なくするのか、極めて厳しい状況にあるものと考えます。
 マスコミ報道では、日本経団連の米倉会長が「日本経済が成長しなければ雇用は増やせない。」と発言しております。
 企業努力だけでは、就職難は解決できないと経済界では、主張しております。大企業に殺到する雇用のミスマッチも起きているとの話しもあります。
 また、日本国内にニートとフリーターと呼ばれている人が多くおり、十五才から三十四才までの若年層で学校にも通わず、仕事にも就いていない人は、六三万人もいると言われており、一〇年前に比べると三割も増えているのが実態であります。
 それらの対策も大きな課題でありますが、中学を卒業して高校へ進学する時、あるいは高校生活において、さらには、自分の進むべき道を探すできるだけ早い段階として、教育の場などで、もっと真剣に「自分の将来」について考える機会を与えることが必要と考えますし、子ども達に見つけさせることも大切であります。
 たしかに学力を高めることは必要ではありますが、大学を卒業しても就職出来ない状況であれば、高校卒業などの時点で、自分の進むべき「職業」を探し得たといううこともあるのではないでしょうか。ある意味、高学歴社会が、現在のニートやフリーターを増大させたとも考えられます。
 また、高学歴社会を反映してか、子供と親との考え方の違いなどもあると思います。教育の場において、親と子両方を教えなければならない場面もあると思います。
 また、先生方の理解度を高めることも必要でしょう。
 そこで質問しますが、秋田県の目指す教育の方向性が、現在の就職難やフリーター、ニートを生み出す原因にもなっているのではないでしょうか。
 また、中学校や高校など、早い段階から「自分の将来」について考える場を与え、社会の現状を教え、そして、自ら考える機会を作ることも必要と考えますが、教育長のお考えを伺います。
 また、今後の高校統合再編を踏まえ、普通学科や職業学科のあり方など、今後の方向についてもお聞かせ下さい。


教育長答弁
 土谷議員からご質問のありました教育問題についてお答えいたします。
フリーターやニートのついては、学歴を問わず、忍耐力の無さや、精神的・社会的な自立の遅れが一つの要因と思われ、日本の社会全体を通じた構造的な問題があるものと考えます。また、学校教育においては、これまで自己実現を強調するあまり、理想を追い求めすぎて、現実を置き去りにしてきたきらいがあるのではないかとの思いがあります。
そのような中、一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて、必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育を幼少期から行なうことにより、周囲と積極的に関わり、職場や地域社会に貢献することのできる人材を育成する必要があります。
本県では、小学校においては地域の調べ学習やゲストティーチャーを活用したり、中学校では95パーセントが職場体験を行なっております。また、高校では平成十五年度から就職を希望するすべての生徒にインターンシップを義務的に課し、進路を選択する能力を育成するとともに、職業理解を通して社会人となる自覚を高める取組を進めるなど、発達段階に応じて進路について考える機会を設けております。
 一方、本県では、高卒就職者の44パーセントが普通科の卒業生ですが、県内就職者の一年後の離職率は普通高校卒が18.4パーセントであり、専門高校卒の8.7パーセントに比べて高い状況にあります。
 大卒に進学する生徒もいずれは就職することを考え合わせれば、今後、インターンシップを一層強化するとともに、特に普通高校の生徒に資格取得や農業体験の機会を提供すること、さらに保護者や地域を巻き込んだ職業指導にも取り組んでまいります。
第六次高等学校総合整備計画案では、工業や農業の中心的専門学校は五学級以上を保つこととしております。生徒数の減少により、専門高校を単独で維持することが難しい地域もありますが、総合性高校の中に職業学科を残し、普通科と職業学科の割合は当面現状を維持しながら、専門高校と普通高校が連携したものづくり教育を推進するなど、学校や学科の枠をこえた職業教育の充実に努めてまいります。

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