一 般 質 問

2018年2月定例会


土谷質問

みらい 土谷議員

 会派みらいの土谷です。
 一般質問のチャンスを頂きましたので、質問をしたいと思います。
 はじめにツキノワグマの被害防止対策について質問します。
 今年度、これまで県警に寄せられた県内でのツキノワグマの目撃件数は一、三〇一件におよび、過去最多だった昨年度の八六九件を大きく上回ったことになります。二〇〇五年度から二〇一五年度までの平均目撃件数が二九五件となっており、それと比較すると昨年度の八六九件、そして今年度の一、三〇一件は、まさに異常であるとしか言えません。
 二年続けて目撃件数が過去最多を更新し、また、痛ましい死亡事故も二年連続で発生しておりますが、有効な解決策をまだ見いだせていないものと思い、私の経験を踏まえて、クマに関することについて質問いたします。
 私は、昭和四十九年に猟銃所持許可免許試験を受けて合格してから四四年間、猟友会の一員として狩猟、有害駆除、標的射撃をしております。
 私が狩猟を始めるきっかけとなったのは、転作田に作付けしたスイカがカラスの被害を受けたことでした。収穫間際のスイカがカラスに食べられ、収量や収益が減少し、泣くに泣けない有様でした。相手には翼があり、その時の私には手も足も出ない状況で、大変悔しい思いをいたしました。
 その思いから、農作物を守るため、そのことは、自分のスイカだけでなく、仲間のスイカ、スイカ部会全体のスイカをカラスの被害から守ることに繋がると思い、猟友会の一員となりました。
 それ以来、野山へ出かけてカモ、キジ、ヤマドリ、ウサギなどの狩猟、カラスなどの有害駆除、そして事故違反防止のための標的射撃などで腕を磨きました。そして、現在に至っております。
 秋田県猟友会の一員として、また、議員という立場で、難解であるクマ対策について、私の思いを述べ、そして県の対策について伺いたいと思います。
 はじめに、ツキノワグマの生息数について伺います。
 ツキノワグマに関しては、新聞、テレビ、ラジオなどで冬眠の前には、毎日のように報道されておりました。
 秋田県内の野生動物の中では最大の野獣であり、死亡例も含め人的被害が一番多い動物であると言えます。私も山菜採りが趣味で、よく山へ行きますが、突然の出会いがあったとしたらどうすべきかとよく考えます。
 昨年の暮より、秋田魁新報社がツキノワグマ関連の特集記事を掲載しております。クマの現状や危険など、様々な方向から見た、大変内容のある記事であると感じております。
 県では、ツキノワグマの県内の生息頭数について、約一、〇〇〇頭前後で推移していると推定しており、また、そのような水準を維持する管理計画を策定しておりました。
 昨年、春の時点でも、一、〇一三頭のクマの生息数を推定していたはずです。しかし、今年度の捕獲頭数は、八二四頭で推定数からすると約八割近くのクマが県内にいなくなったことになり、絶滅の危機を迎えることになります。
 しかし、県の担当者や専門家は、それほどにクマが駆除されても、実際の生息数は推定を大きく上回るとの見方であり、クマの推定生息域を従来の一・五倍に広げています。  また県は、昨年十月にクマの管理計画の見直し案をまとめていますが、二〇〇九年度以降継続してきた、クマの狩猟を自粛する保護政策をやめて、五八頭を上限として、九年ぶりにクマ猟を解禁しております。
 これまでの経緯を見ると、推定頭数と実数の差があまりにもありすぎます。また、しっかりとした実数に近い生息数を把握せずに、狩猟解禁に踏み切ることが妥当なのかも疑問を感じます。
 県では、二〇〇二年度以降、五年区切りでツキノワグマの管理計画を策定しております。管理計画は、ツキノワグマの安定的な維持に配慮しながら、被害対策を効果的に推進するための総合的な施策を定めるものでありますが、ここ数年の人身被害の発生や県民が感じる恐怖心を思えば、正確性に疑問の残る生息数調査に基づく管理計画では、県民の不安は解消できません。県では、ツキノワグマの生息数について、どのような調査を行い、その信頼性をどのように評価して計画を策定しているのか伺います。
 私の先輩でベテランの猟友会の方からお話を伺うと、奥羽山脈沿いだけでなく、出羽丘陵など比較的起伏の少ない山にもクマが見えるとのことです。今までの調査では、県内のクマの生息数全てを確認することができないのではないでしょうか。そして、その調査が形骸化することが一番心配されます。
 県では、新たな調査として、県と県立大が共同で一〇〇台余りのカメラを三年かけて県内各地に順に設置し、目視による頭数確認も並行して行い、双方のデータを統合して、新たな推定値を算出することにしております。
 確かに科学的な手法に基づく近代的な生息数の調査も必要とは考えますが、有害駆除などでこれだけのクマが殺処分され、また、クマに襲われる人が発生する状況を見たときに、県としてあまりにもスピード感がないように感じます。
 近代的な生息調査と同時に、実際に山を駆け巡っている猟友会全体に調査を依頼すべきと考えます。猟友会の皆さんは、狩猟だけでなく、春から秋にかけて山菜取りなどで山中に分け入る人が多数おります。クマの縄張りの主張である木の爪跡や、山菜を食べた跡など、クマの生息の痕跡を見つけるには、ベテランの方からの情報収集が必要と思います。
 私は、猟友会の皆さんは、秋田県の自然を守る「守り人」であると思っております。誰しも、むやみに無理な殺傷を望んではいないと思います。
 いずれにしても、県内のツキノワグマの生息数を把握しなくては取り返しのつかないことになると考えられます。
 全県の猟友会の皆さんの力を借りて、正確な実態調査をすべきと思いますが、知事のご見解を伺います。
 次に、クマ被害に対する県の組織体制について伺います。
 クマに関する施策は、生活環境部の自然保護課で所管しております。クマの生息頭数の推計や有害駆除での捕獲頭数など、個体数の維持に関することは自然保護課の重要な役割だと思います。
 自然保護課のあり方として、動植物を保護して秋田県の自然界を守ることについては理解をします。しかしながら、名目上は有害駆除ではありますが、ツキノワグマが昨年度には四七六頭、今年度には八二四頭捕獲され、殺処分されております。この仕事が自然保護課というのは、イメージ的にたいへん受け入れ難いものがあります。そしてこのことは、自然保護課がやるべき仕事ではないように思われます。
 有害駆除など猟友会関係の実務的仕事は、各振興局の農林部が対応しております。有害駆除以外にも、狩猟免許や事故防止対策なども農林部が行っております。
 秋田県の自然の中で人間とクマとの共存を図ることが必要であると考えるならば、有害などで駆除したクマが何を食べていたのか、また、どのような行動範囲を取っていたのかなど、様々な観点から調査の必要性を感じます。
 現場を大切にするならば、猟友会との関わりの深い振興局農林部で、この難解なクマ対策に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、猟友会員の狩猟技術訓練について伺います。
 猟友会の会員数は、ピーク時の一九七五年度に約八、〇〇〇人でしたが、現在は一、五〇〇人まで減っています。また、六〇歳以上の会員の割合は七割となり、有害駆除などへの出動も大変になってきております。
 ただ、県の猟友会員確保に向けた様々な対策のおかげで、今年度一八八名が新規に免許を取得しております。
 新規の猟友会員が増えることで、将来に向けて猟友会としての狩猟や有害駆除などが継続でき、秋田県の自然を守ることにも一役買うことになると思います。
 ただ、実際には、狩猟や有害駆除を行うには、様々なことを学ばなければなりません。私の場合は、近くにベテランの猟友会の人がおり、その方に弟子入りをして、様々なことを学びました。
 その師匠と野山を駆け巡りながら、狩猟で一番大事な安全狩猟に徹することや、そのためには、銃の取扱いや矢先の確認、必要な時以外は弾を込めない、銃の運搬のあり方など、その他についても、いろいろ指導を受けました。そして、動物や鳥の足跡を見て、どこに潜んでいるのか、何を考えているのかなど、五感以上の第六感まで働かせて狩猟をするのです。
 当然、腕前も上達しなければなりません。銃の肩付け千回を毎日やれと、よく言われました。銃の腕前は、実際に撃つことでしか上達しません。そして、そのための施設は射撃場しかありません。
 これまで、議会の一般質問や総括審査などでも、度々質問が出ましたが、県立総合射撃場の再開について、今回、狩猟技術訓練施設への転用に向けた予算が提案されております。
 新たな猟友会員を一人前に育てなければと考えると、現在、閉鎖中のクレー射撃場の一日も早い開放を望むものであります。新規の猟友会員のみならず猟友会全体の訓練や、事故防止対策の一環としても絶対に必要と考えます。県立総合射撃場の再開について、県のお考えを伺います。
 次に、クマと人間社会との棲み分けについて質問します。
 私は猟友会に入って四〇年以上になりますが、どちらかと言えば、平場や野山が猟場であり、ツキノワグマをターゲットにした狩猟はやっておりません。ただ、狩猟を通して自然や動植物に対する感覚が研ぎ澄まされ、野生のことが分かるようになります。
 野生動物との遭遇では、私が狩猟に行ったときも、山菜採りに行ったときも、基本的に野生動物は人の目から隠れようとします。新雪が降って、真新しい雪の上に動物の足跡を見て、意外なところに潜んでいることに驚きを覚えることもあります。
 ツキノワグマについても、本来であれば人の目につかないように生活する動物であると思います。通常であれば、人里や里山周辺で生活するのではなく、奥山での生活が普通で、はぐれ熊や発情したオス熊などが、例外的に人里近くに来ることもある程度だと考えていました。
 しかし、ここ二年間の人里でのツキノワグマの目撃情報や有害駆除の件数は異常であります。根本的な原因を突き止めなくては、効果的な対策が取れないことになります。
 そこで、私なりに考えてみました。
 ひとつは、クマの目撃情報や有害駆除が増える前の年に、ブナなどの山奥の木の実が豊作で、それによって子熊の出産が順調だったものの、山の木の実が不作になり、餌を求めて里山へ降りてきたと考えられること。また、里山周辺が昔と違って荒れており、それと同時に耕作放棄地が増え、クマも姿をくらましやすくなったこと。さらに、クマの食性は雑食であり、様々なものを食べていると思われますが、人間の食するものがクマにとって最高のごちそうと感じているのかもしれません。
 クマとの突発的な遭遇として、タケノコなどの山菜採りで夢中になりすぎたり、前がよく見えないところで出会い頭に襲われることがあります。ただ、先にも述べましたが、元来、野生のクマは臆病と思えるほどの慎重で、自ら危険を冒すようなことはあまり考えられません。まして、子連れのクマがこれほど人間社会へ近づくのは尋常ではありません。いまだかつて、秋田県の自然界の歴史の中で、このようなことが起こったことがあったでしょうか。
 なぜ、クマが集落近くまで現れるようになったのか、それも子連れのクマが恐れずに姿を見せている、そのことに私は不思議な思いをしています。
 私の猟歴の中で考えられることは、狩猟を始めた頃の昔の集落は、萱葺きの家も多く、玄関先の土間は、土のコブができており、暖房は「薪ストーブ」や「囲炉裏」であり、今考えると大変趣がありました。昔は、家の構造や生活習慣から、開けっ広げで人の出入りも多かったのが、現在は家の戸締まりもしっかりしており、外の人影はめっきり少なくなったように思います。また、集落は、歯が抜けたように人が住んでいる家も少なくなり、過疎化のさみしさを感じます。
 確かに里山が昔と違って荒れたことも原因と思われますが、昔と現在とを比べてみたときに、私は、集落に番犬として飼われていた犬の存在が大きく関与しているのではないかと思います。気が付けば、集落や人の周りに犬が少なくなったように感じます。
 県の生活衛生課で調べていただきましたが、県内の犬の登録頭数の推移を見ると、平成十三年度は五万一、八七八頭でしたが、平成二十八年度では四万二、八九六頭と、八、九八二頭の減少となっております。
 また、日本ペットフード協会の資料で、犬種から集計される体格別の割合をみると、平成二十三年は、大型犬五・〇パーセント、中型犬四・〇パーセント、小型犬六三・九パーセント、不明二六・九パーセントでしたが、平成二十八年のデータでは、大型犬三・二パーセント、中型犬三・一パーセント、小型犬七二・五パーセント、不明二一・三パーセントとなっており、ペットとしての小型犬は増加をしており、大型犬、中型犬は減少しております。
 このデータは全国のデータであり、実際のところ、もっと古い時代のデータやクマの出没地区の大型犬、中型犬の飼育状況はどうなのか、また、クマと犬との関係など詳しい調査の必要性を感じております。
 私も、狩猟犬のセッターを、これまで数匹飼いました。犬は、人にとって最も古い家畜と言われ、人によく懐く動物です。また、日本犬や外国犬など種類が多くあり、犬の聴覚は、人間の約四倍から一〇倍、あるいは一六倍もあると言われております。そして嗅覚は、人間の数千倍から一億倍の匂いを感じると言われております。
 私は、その犬たちが、クマから集落を守り、人を守ってきたものと思います。
 昔は、日本犬の雑種など、様々な犬が集落にいました。その犬たちがクマへのバリアを形成していたのではないかと思います。
 現在は、室内で飼う小型の愛玩犬が多くなりました。外で飼う中型犬、大型犬は徐々に少なくなってきております。
 私の考えでは、クマが苦手とする犬がいなくなることにより、クマのテリトリーが広がり、エサもあることにより集落や人の生活圏に近づいてきたものと思われます。
 近年の目撃例を見ると、臆病で慎重な子連れのクマが集落にこれほど近づいてくるには、何らかの垣根が取り除かれた状態であると考えられます。
 日本犬の祖先はオオカミとも言われています。今では、人間の友達のような形でいますが、時には野性を感じるようなことが多々あります。
 狩猟で野山を歩いていると、突然、獲物の場所を示すポイントをして、相手の強さを感じ尾を股の下に隠し、威嚇のために唸り声を上げたときなど、ポイント先に本体がいない場合でも、おそらくクマかカモシカが直前までいた匂いを感じ取ったのではないかと思います。
 また、犬が夜半にオオカミのような遠吠えをして、隣近所や遠くの犬が大合唱することがあり、やめろと言っても真剣に吠える姿は、夜の闇の中で、何らかの敵に対しての行動ではないかとも思います。
 人身被害や農作物、その他の被害防止のためにも、クマと犬との関連などの調査を県として検討できないものか伺います。
 今まで、クマがあまりにも人間社会に近づきすぎたために有害駆除などで対応してきたものと思います。ただ、今後は、英知を結集してクマを人間社会から遠ざけて、従来の奥山での生息となるよう努力すべきと考えますが、クマと人間社会との棲み分けについて知事のお考えを伺います。
 最後に、秋田県の自然環境について伺います。
 県内の生活環境は、一〇年から二〇年前と比べると格段に良くなったと思います。
 国道、県道、市町村道などの道路整備、農村の基盤整備事業、公共下水道や農業集落排水事業、合併浄化槽の設置、ゴミの収集など、その他様々な施策で市街地や農村部の生活環境は飛躍的に改善されてきております。
 私の住んでいるところは農村部でありますが、今では、年間を通して蚊やハエなどをたまに見かけるぐらいで、払っても払っても食べ物に飛んでくるハエに閉口した昔をよく思い出します。
 ただ、農村全体を見渡すと、生活環境の改善の影響だけではないでしょうが、様々なことで、自然界の変化を感じます。
 春になると、子育てのために飛んできていたツバメが異常に少なくなったこと、水田の上をスイスイ飛ぶ姿が極端に見えなくなったこと、電線に並んで止まっているツバメをここ何年も見ておりません。カラスは増えたけど、スズメが随分減ったという話もよく聞きます。
 畑や田んぼにアマガエルは比較的多くおりますが、トノサマガエルを私はここ何年も見ておりません。少なくなったのか、あるいはいなくなったのか。病気という説もあります。生育環境が変わった、あるいは他の要因があるのかもしれません。
 本県では、平成九年に「秋田県環境基本条例」を制定しており、その前文には、「環境を守ることが幸福につながることを深く認識し、県民すべての参加の下に人と自然が共存する豊かでうるおいのある環境を保全する」と記されております。また、条例に基づく「第二次秋田県環境基本計画」では、「豊かな水と緑」を将来に伝え残すことを目指し、自然と人との共存可能な社会の構築などの基本方針が定められております。
 先ほど述べたような環境の変化が、想定内なのか、想定外なのかはわかりませんが、いずれにしても、鳥やカエルなど、多くの動植物と共にある豊かな秋田県の農村風景、その自然が変化を起こしているのではないかと思われ、調査の必要を感じます。
 「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」の案が示されました。人口減少対策など、様々な課題も多く、その克服のための指針や重点戦略が示されております。その中で、将来の秋田の姿について、「高質な田舎を目指して」とあります。
 全国と比べて秋田県の魅力とは、一体何でしょうか。私は、まだまだ開発されていない自然豊かな大きな自然の残るこの秋田県こそが一つの財産であり、魅力ある田舎だと思っております。
 「第3期プラン」として、攻めの姿勢も大切と思いますが、守りを固め、そして攻める、そういう姿勢でなければ、大事なものを失うことになりかねないと思います。先人が残してくれた秋田県の素晴らしい豊かな自然を守っていくこと、そしてそれを後世の人に残すことが大切であると考えます。知事は、近年の本県の自然環境についてどのような思いを持っておられるかお聞かせください。

 これで私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。



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