一 般 質 問

2019年2月定例会


土谷質問

みらい 土谷議員

会派みらいの土谷です。
一般質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。難題のイージス・アショアについて質問いたします。
国は、昨年末の十二月十八日に、「防衛計画の大綱」と共に「中期防衛力整備計画」について閣議決定しました。この中で、イージス・アショアの整備が明記されており、突然の発表に大変なとまどいを感じております。
国防も大切でありますが、その前に県民の不安に応え、県民の生活を守るということが、大切であると考えており、そのような思いで知事に質問いたします。
知事は、九月議会で「住宅地に近い場所であり懸念がある。調査の結果を受け詳細な情報提供と、具体的で合理的な説明を求めていく。」という発言と、「十分な保安距離や緩衝地帯がとれるかについても調査をし、確保出来ない場合は、代替措置を検討することを申し入れた。」との発言をしております。
私も、「陸上自衛隊新屋演習場」へのイージス・アショアの配備については無理があるのではないかという疑問を抱えながら、昨年十一月十一日から十一月十七日までの約一週間、イージス・アショアの配備に関する調査のため、ポーランドとルーマニアを訪問しました。
調査に参加した議員は、竹下博英副議長、北林丈正議員、佐藤雄孝議員、東海林洋議員、佐藤正一郎議員、そして私の六名であります。調査内容については、十二月十三日の午後一時から、大会議室にて議員の皆様に、ハワイ基地視察の皆様と合同で報告をしております。
知事もなんらかの形で報告を聞いていると思いますが、知事は、私達の報告に関して、どのような事を感じたのか、所感を伺います。
今回の視察の中で私が特に感じたことを述べますが、最初に訪問したポーランドのレジコボ基地では、レジコボ自治体代表者同行の上、ポーランド軍警備の敷地内でポーランド軍基地責任者であるレバンドスキー大佐から説明をしていただきました。
二〇一六年五月に着工し、現在も建設中であり、二〇二〇年に完成、そして運用開始予定とのことでありました。当初は、二〇一八年の完成予定でありましたが、ミサイル類のテストや品質確保のために遅れているとのことでした。
私達が説明を受けているところから建設中のデッキハウスまでは、目測で一キロメートルから一・五キロメートル程度の距離がありました。デッキハウスは、想像していたより大きな施設でありました。
この基地では、イージス関連の重要施設はアメリカ軍が警備をしているとのことでした。
二重のフェンスで囲み、その外側は、ポーランド軍が警備をしているので、厳重で堅固な警備がなされていると感じました。
現に、私達が基地内で説明を受けている間中、さりげなく、自動銃を持った兵士と思われる人が私達の周りに数名おりました。
基地の面積は七〇〇ヘクタールあり、これ位の広さであれば、テロや襲撃から守ることが出来るであろうと感じて来ました。次に、ルーマニアのデベセル基地でのイージス・アショアについては、二〇一三年に建設開始、二〇一六年に供用開始しており、「欧州ミサイル防衛構想」の中で配備されているとのことでした。
全体面積は一、〇〇〇ヘクタールで、最も近い集落まで三・八キロメートルあり、イージスアショアを含む重要施設のある約二一〇ヘクタールについては、アメリカ海軍支援施設としてアメリカ軍が警備を行っていました。
その外側はルーマニア軍が守っており、警備に関する責任は、ルーマニア軍司令官が持っているとのことであり、強固な警備がなされていると感じました。
ポーランド軍もルーマニア軍もNATO軍でありアメリカ軍との連携はうまくいっているとのことでした。
また、二つの基地を見て、基地の広さを感じました。ポーランド、ルーマニアの両施設は見通しが良く、冬の季節でしたが、立木は一本もなく、ヨシやススキのような背の高い雑草もなく、ただ広々とした大地でありました。
今回私が視察に参加したのは、「陸上自衛隊新屋演習場」が果たして立地条件になり得るかということを確認したかったからです。私は、新屋演習場の視察にも参加しました。
新屋演習場は、住宅地に隣接しており、勝平小学校、勝平中学校のほか、秋田商業高校や公共施設なども近くにあります。また、近くに一日約一万七千台の車が通る国道七号線「秋田南バイパス」や県道六五号線「はまなすロード」があります。
新屋演習場の東西の幅は約八〇〇メートルから一キロメートル、南北は約二キロメートル、外周五キロメートル、面積は約一〇七ヘクタールであります。ポーランドの基地面積七〇〇ヘクタール、ルーマニアの基地面積一、〇〇〇ヘクタールと比べれば、あまりにも基地面積が違いすぎます。
イージス・アショアは、有事の際、敵国が発射したミサイルを打ち落とすミサイルシステムです。
敵国は、自国のミサイルを破壊するイージス・アショアを、テロや破壊活動などあらゆる手を使って破壊しようとすることが予想されます。
もし仮に新屋演習場にイージス・アショアが設置されたとするならば、どのような事になるのか、ポーランドやルーマニアの基地と違い、新屋演習場で自衛隊員がテロや敵国の襲撃を受けた時に、本当にイージスを守ることが出来るのか疑問に思います。
攻撃する側とすれば、イージス・アショアの破壊を目的に攻めることになります。守る側とすれば、万全の体制のもと、当然交戦状態になると思われます。銃撃戦も予想されます。守る自衛隊はイージス・アショアを背に置いて戦うことになります。
新屋演習場では、東西の幅が八〇〇メートルから一キロメートル、その中にイージスの施設が建設されることにより銃撃戦の距離は、およそ三〇〇メートル以内で行われる可能性があります。
そして、先程述べた通り、新屋演習場の外は、住宅地や学校、公共施設等があります。
現在、日本の陸上自衛隊の制式自動小銃は、八九式五・五六ミリ小銃です。一九九〇年代以降の陸上自衛隊の主力小銃です。口径が五・五六ミリメートル、銃身長が四二〇ミリメートル、有効射程が五〇〇メートル、最大到達距離は三、三○○メートル程あると言われています。
日本猟友会の狩猟読本によれば、クマやイノシシ、シカなどの猟に使っている一般の三〇口径ライフルでは、有効射程が三〇〇メートル、最大到達距離が三、二〇〇メートルから四、〇〇〇メートルとあります。
守備隊が使うであろう自衛隊の制式銃の場合、有効射程以上に飛ぶ弾丸であれば、最大到達距離までの間に人間に当たった場合、当たり所が悪ければ死亡という事態も考えられます。
また、一発の銃弾が走っている車に当たり、重大事故が発生する事態も考えられます。新屋演習場では、弾の飛ぶ角度によって、地理的にこうした事案が発生する可能性が高いと思われます。
守らなければならない人や生活をしている人達へ流れ弾が飛んでいく、それもイージスを守る自衛隊の守備隊の方向から。これでは、本末転倒であると言わざるを得ません。
指摘されるような事が発生すれば、国としても県としても重大なことになりますし、イージスを守るために重火器を配備、使用すればもっと悲惨な結果が心配されます。
また、海上保安庁によると、全国の日本海沿岸地域では、北朝鮮籍とみられる不審な木造船の漂流・漂着が、平成三十年の一年間で二二五件となり、平成二十五年以降最多であった、平成二十九年一年間の一〇四件を大きく上回っております。
これは想像になりますが、日本の防衛を真剣に考えると、北朝鮮が、海流や季節風など様々なデータを調べ、いざという時、日本海沿岸の各県に音もなく忍び込むための戦術の一つであるとも考えられます。また、そういう分析も必要と思います。
こうしたことを考えると、イージス・アショアを海の近くに設置することは、大変危険を伴うように思います。
新屋演習場への配備に伴うリスクについて、知事は、どのように思いますか。私の話は仮説であり空想にすぎないとお思いでしょうか。
ご所見を伺いたいと思います。
ポーランド、ルーマニア視察では、電磁波についても調査をしました。
ルーマニア基地から約四キロメートル離れているデヴェセルの町のイオンアリマン町長から聞き取りをしましたが、国防省は月一回情報をモニターしているが公開はしていないとのことでした。また、子供達を対象とした特別な検査は実施していないが、入学時の医師による診断では、何も問題が発生していないとのことでした。
基地と町との距離が四キロメートルと離れていることや、建設されてからの年数が経っていないということなのか、いずれにしても、国防省が月一回モニターしていることから、今後影響が出ることが心配されます。
特に、子供達への影響がなければとの思いでした。電磁波については、まだまだ解明されていないことが多く、今後の課題の一つであると思います。
また、これは私の所感ではありますが、ポーランド、ルーマニアの警備状況をみると、広さが守備隊の生命線であると感じて来ました。
テロや襲撃を受けた時、イージス・アショアまでの距離が遠ければそれに対する対応や、守備を固めるまでの時間が稼げることになります。新屋演習場の場合は、緊急時の体制を整える時間が無いに等しい不利な条件の一つであると思います。
また、周りの市街地や公共施設など建物群は、見通しのきかない密林のジャングルと同等であり、守備隊とすれば常に緊張を強いられることになります。
平常時においても、不審者や突発的な事案の発生などに備え、警備のための監視カメラなどの設置が必要になると予想されます。秋田市の至るところ、死角の無いように設置されるであろうと思いますし、そうせざるを得ない状況であると考えられます。
市民の平穏な生活が監視の対象になったり、国際情勢の悪化で緊張が生まれることも多々あると思います。
秋田市全体の警備が強化された場合、住民に与える影響も大きいと考えられます。知事はこの点についてどのように思われますか。
また、ポーランド視察の際には、レジコボ自治体組織の代表者と意見交換をしました。
住民や自治体にとってのメリット、デメリットについて質問する中で、基地建設のデメリットとして、二五〇ヘクタールの工業団地の開発用地を準備していたが、レジコボ基地の近くでもあり、基地が出来たことで投資会社が減少したとのことでした。さらに大事な事として、政府と交渉するときは、地元や住民への賠償の項目を文書化しておくことが必要であるとのことでした。
仮に、新屋演習場に、イージス・アショアを設置するとなれば、有事の際の危険を考えると、秋田市全体が警戒レベルを上げなくてはなりません。県民市民の安全安心をどうするのか、また、県や秋田市の持っている資産や企業資産、市民の個人資産など価値の低下なども考えられます。
そういう事態が起きた場合、国はどこまで保障してくれるのでしょうか。安全安心のための方策や、人口減少への対応、若者の定着への対応も必要になるかもしれません。
また、秋田市への移住は本年一月十一日現在、一三〇人であり、「住みたい田舎」ベストランキングで、東北エリアの総合二位に選ばれておりますが、こうした移住に対しての影響も考えられます。
このほか、観光、インバウンド及びクルーズ船寄港などへの影響や、産業振興、企業誘致など、今までの振興策ではなく、新たな振興策が必要となると思われますが、しっかりと対応してもらえるのでしょうか。私はこうした点について心配をしておりますが、知事はどのように考えておられるのか、見解を伺います。
次に、私事になりますが、私は戦後の生まれで「戦争を知らない子供達」という歌の通りであります。
私の父親は、太平洋戦争の経験者であり、体の数箇所に戦車砲の破片を受け負傷して帰って来ました。若くして志願兵として満州に配属になり、終戦近くには南方の戦況が悪いとのことで沖縄へ転属となり、戦闘で負傷をして沖縄のサンゴ礁の洞窟で傷を癒やしたそうです。艦砲射撃など攻撃のすさまじさは言葉にならないような有様であったそうです。
沖縄は暖かく、負傷した腕や足にハエが卵を生み、傷口にうごめく「ウジ」を箸でつまんで取ったそうです。比較的元気な同僚は、北の方へ行くと助かるとのことで出発したそうですが、全員戦死したとのことでした。
砲撃も止み、飛行機から、何回となく戦争が終わったとのビラが撒かれ、本当かどうかの確認のため、残っていた数人の代表として手榴弾一発を持って、もし騙されたなら自決するとの覚悟で、残っていた人には、もし帰ってこなかったら覚悟を決めろと言って洞窟を出たそうです。
このことは、私が小学校四年生の時、父が話をしてくれました。子供心に大変ショックで、いまだに鮮明に覚えております。
その後、私が高校生で一番生意気盛りの時に、父親に、「戦争で障害者になって、国やお上に恨みやつらみはないのか。」と言ったことがあります。
父は、「国を守る、家族を守るというので兵隊に入った。そんな事を思う訳がない。」と言われ、というよりこっぴどく怒られ、それからは戦争についての話は、父が死ぬまでありませんでした。戦争で犠牲になった方々のことを考えると、戦争の悲惨さや、今の平和の尊さを大切にしなければと強く思います。
私も父のように有りたいと思います。イージス・アショアが専守防衛のために、国を守るために、敵国の弾道ミサイル攻撃を阻止することで敵国の攻撃を断念させる抑止力となるのであれば、私は設置には賛成です。
ただし、先に述べた理由で自衛隊新屋演習場への設置には反対です。
視察を通して感じたことですが、設置するのであれば、ポーランドやルーマニアの基地のように、広い土地を確保して四方八方見通しが良く、テロや破壊者が近づけないような場所に設置すべきだと思います。
イージスの基地は、有事の際、一〇〇パーセント襲撃を受けることを覚悟しなければならないものと考えます。
私は、秋田市民の皆様に不安を与えるために発言しているのではありません。国対国とのバランスを取るためのイージス・アショアではなく、秋田市民の安全安心を第一に考えるべきです。
また、イージス・アショアの防衛力についてでありますが、防衛省から示された資料を見ると、イージス・アショアを秋田県、山口県に設置することにより、防護範囲の輪が首都圏で二重になり、もしかするとイージス艦の活用により三重に守られるのではないかと思います。
首都圏は日本の中枢でもあり、人口も多く、私の血縁者や友人など守らなければならない人が多く住んでおります。それと、マスコミなどの報道でもあるとおり、アメリカ大統領がトランプ氏になったことで、世界のアメリカから、アメリカのためのアメリカ、アメリカ第一主義を主張し貿易関係や安全保障に関しても、先の見通せない状況にあると言えます。
日本の同盟国であるアメリカに頼るだけではなく、日本国として自己防衛の構築を図るべきと思います。
大分長くなりましたが、知事の見解を伺います。
今回のポーランド、ルーマニア視察は、大変、スケジュールの厳しい視察でしたが、イージス・アショアに関し、行ってみなければわからないことがありましたし、大いに責任のある有意義な視察であったと思います。日本国、秋田県、そして秋田市の平和と安全を考える視察でありました。市街地の隣接地にイージス・アショアを設置するには絶対に無理がある、この思いが政府や防衛省に届くことを願って質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。



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